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【18禁BLゲーム】sweet pool

18禁BLゲーム4作目です。
「黒の十字架」は途中で投げてしまったので、実質3作目みたいなものです。

今までやってきた4作の中では一番出来がいいです。
咎狗と同じシナリオライターさんらしいのですが、めちゃめちゃ腕上げてる……。
構成よし、映像よし、音楽よし、誤字脱字なし(気づいたところはなかった)。
救いのない暗い話なので、プレイヤーを選ぶだろうと思いますが、私にとってはかなりツボでしたし、なぜ自分はBLが好きなのか?ということを考えさせられた作品でした。

普通のBLゲームと違って、攻略ルートは哲雄×蓉司(こっちが主人公)がメインに4エンディング。これがまた全部切ない。
他のキャラ2人を選ぶともれなく極めつけのバッドエンドがついてくるという……。
自分としては融合エンドが一番好きです。
主人公たちは自らが知らず望みもしないのに、いつの間にか人間ではないいきものになってしまった。最初から、されてしまっていたのかもしれない。
生み出される子どもが間違った存在だとしても、子どもを産むのはいきものとして正しいことだと思うのです。だから融合エンドが好きです。
哲雄の立場なら、大切なものを失ってまで(それは結果としてそうなったということで、選択したときにそれがわかっていたわけではありませんが)人間としての生を選択するというのは、ちょっと辛いかなと思うのです。
でも自分が蓉司の立場だったら、何がなんでも哲雄には生きて幸せになってほしいと願うので、多分人魚姫エンドかトゥルーエンドを希望すると思いますが。
トゥルーエンドといえば、最後のシーンの蓉司は記憶の見せた幻だと私は思います。
5年後という時間から考えれば、生きてる彼が制服着てるのはありえないですし、哲雄は制服姿以外の蓉司の姿を見てなかったはずなので。

内容的にはとても好きなこのゲームなんですが、咎狗のときと同様、意味のない設定があったりして首をかしげました。
主人公の蓉司は小学生の頃、交通事故で両親を亡くしていて、たった一人の肉親の姉は最近結婚して、同居していたマンションを出ていった。家賃と学費はその姉が半額出してくれている。
彼は入院していて留年していたくらい体が弱いのに、なんとコンビニでバイトして生活費を稼いでいるのです!(しょっちゅう体調不良で休んでるらしいけど)
2DKの家賃と学費を足したその半分、そして残りの生活費は、そんなバイトでは賄いきれるはずがないと思うんですよ。
バイトしてるシーンとか、バイトをしているという設定がなくてはならない伏線で使われたりしているわけでもないし、不要な設定だと思うのです。それより先に、家賃の安い1ルームにでもちゃっちゃと引っ越せ。
それに両親の交通事故は向こうが突っ込んできたものだったので、結構保険金あったんじゃないかと思うのですが、それで解決する問題じゃないでしょうか、このあたり。
企画段階で、バイト先の親切なおにーさんルートとか作るつもりだった、その名残なんじゃないかと邪推してしまったりします。


うちの会社の腐った同僚なんかもそうなんですが、BLが好きな人ってハッピーエンドが好きな人が多い気がします。BLが好きな人とハーレクインが好きな人は、購買層が被ってるようですし。
でも昔のやおいとかJUNEとか呼ばれていたジャンルのものは、アンハッピーエンドが多かった。同性愛は社会的に認められないものという認識のもとで話を作れば、アンハッピーエンドになる確率が高いからです。
詳しくはありませんが、対する現在のBLは、同性愛に対する風当たりはあまりないように感じます。男女交際するのと同じようなノリで男同士付き合ってしまうみたいな。背徳感などはあまりないようです。

私はというと、古い人間なのでやっぱり昔のやおいとかJUNEの路線が好きなわけです。ハッピーエンドも好きですけど、それだけじゃどうも物足りないときがある。
その理由を少し考えてみたのですが、昔風のBL(に統一します)のパターンというのは、社会とか世間から自分のことを外れてると思って孤独を感じている2人が出会って、「ああ、やっとわかってくれる人に出会えた」って恋に落ちる話なんですね。
昔は同性愛に対する風当たりは強くて、BLなどちょっと変わったものが好きな女の子に対する風当たりも当然強くて、そういうものが好きな子は大抵「変わってるよねあの人」とか言われて孤独だったんです。だからこそ、腐女子仲間を見つけたときの盛り上がりとか団結力というものはなかった。
女性の好む恋愛小説って、男同士だろうが男女だろうがこの「やっとわかってくれる人に出会えた」がベースで、阿部定が事件後に血文字で書いた「定、石田の吉二人キリ」のごとく、世界は二人きり、なわけです。

このsweet poolの主役二人も、世界から自分が疎外されているように思いつつも他に世界などあるはずもなく、自分を囲む世界が自分に与えるどうしようもない違和感の中で、これからずっと一人で生きていかなきゃいけないのかと絶望していたのに、お互い唯一無二の相手という設定で出会ってしまうわけで、もし彼らが普通の人間ならば、一度は切り離されたと思っていた「世界」に二人で戻っていくというハッピーエンドもありえたかもしれませんが、そうでないから行くとこまでいくしかない。ということはハッピーエンドはありえないんです。

男女のカップルだとその恋が成就した先は、結婚であり、出産・子育てであり、いくら彼らが世界に疎外されているように感じていても、所詮、世界や社会の中に帰っていくルートです。
例外もないわけじゃありませんけれども、現実に生きる限りは、どうしても働かなきゃ生活できないし、人付き合いもあるわけです。子どもができて育てるとなると、社会とのつながりは特に濃厚になります。

男性向けの作品の場合も、疎外感孤独感の中で同じ仲間や恋人と出会う話は結構あると思うんですけど、性差なのかなんなのかよくわからないのですが、世界が二人きりのままの話はないんじゃないかと思うんです。そこまで色恋にうつつを抜かせないということなんでしょうか。
男性向けということで例外的に思い出したのは「最終兵器彼女」なんですけどね<世界に二人きり
あれは別に世界から疎外された二人が出会ったってわけではなくて、そこが昔風のBLとは決定的に違うかなと思いますが。

昔のBLを好む女の子というのは、頭が良かったりセンシティブだったりする人が多かった。そういう人は、世界に対する違和感を感じがちです。栗本薫さんが「銀河生まれの地球人」という言い回しをよく後書きやエッセイで使ってらっしゃいましたが、それはこういうことなんです。
そういう人は孤立しているように見えなかったとしても孤独だから、自分のように世界から疎外されて孤独な二人が「やっと出会えたね」という話=BLが好きなんです。

sweet poolをやっていて実は涙が出たのですが、それは相手役の主人公への「お前、寂しくなかったか」という問いかけのセリフで、私は自分が寂しかったんだなと思ったからでした。
そしてその寂しさは、自分のことをよく知っている人が誰もいないからだいうことに気づいたからです。
「私のことを完全に理解して!」なんて小娘みたいなことは思いませんけど(完全に理解されたら気持ち悪いし)、生活レベルで何が好きとか嫌いとか、どんなときにどういう反応をするとか、家族だったら普通は知ってるレベルのことを知ってる人が私には誰一人いないのです。
親もきょうだいも友だちも、そういう意味では私のことを知らない。辛いときに相手の都合も考えずに甘えられる、というより甘えてもいいと思える相手もいない。
母親からは「あんたは何を考えてるかわからない」と言われます。子どもの頃から特に甘えたことはなかったですが、幼稚園のときから私だけ別室に独り寝で、怖い夢を見ても具合が悪いときでも一緒にいたことがないから、いざというときにあてにならない人、としか思えません。なので、甘えるどころか世間話くらいしかできない。
見聞きする他の家庭の母と娘というのは大抵仲が良くて、一緒に旅行行ったりしてるらしいですが、私はごめんです。
父親とは超絶的にそりが合わないので、挨拶くらいしか会話が成り立ちませんし、弟とは仲は悪くはありませんがその程度です。
こんなことを言うと、私も(うちも)そんなもんだよ、ってよく言われるんですけどね。
簡単にそういうことを言う人――みんなが我慢してるから我慢しろという文脈でものを言う人もまた、信用できません。私の痛みと誰かの痛みは同じレベルの痛みでも感じ方が違うという想像力のない人は、あまりまともに話を聞いてくれないからです。話を聞いてもらえるだけで落ち着くことだってあるんですがね。
というわけで、かなり根強い人間不信が私にはあるようで、そもそも自分が信用してないのに寂しいもくそもあったもんじゃないってことは、頭ではわかっています。恐らく死ぬまでこのままなんだろうなということも。
だからこそ、ないものねだりに「やっと出会えたね」と唯一無二の理解者に出会って孤独が解消される話に惹きつけられてしまうのだと思います。

しかし、小説書きとしての自分をふりかえってみると、こういう話は書けないんですよ。なんか嘘くさくて(爆)
メシ食ってかなきゃいけないんだから二人きりの世界とかありえないし、相互に理解しあったって認識が成立してそれでハッピーかというとそうじゃないと思うし。
そういう点で自分を説得できないから、好きでも、こういう話を書くのは自分には難しいかなあと思ってしまいます。
出会うのは必然じゃなくて偶然で、その人じゃなくてもよかった、なのにそれでも好きになってしまった、という話なら書いてみたい気はします。


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