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【読書】刺青の男

10年ぶりくらいだったので忘れていたが、この本は私が読んだブラッドベリの中で一番好きな話「今夜限り世界が」が収録されていた。
それを初めて読んだのは、世紀末が訪れるまで10~15年というところだった。
ひょっとしたらノストラダムスの大予言が当たって1999年に世界は滅びてしまうかもしれない、と、ぼんやりと頭の片隅で思っている中・高校生は少なくはなかったと思う。
ただ、滅びてしまうかもしれない、という予感は、来るべき未来として確固とした確信を持ったものではなくて、めんどくさいこの世というものがすべてなくなってしまったらいいなという、逃避願望だったのだろうが。
「今夜限り世界が」はある夜のある夫婦の物語である。
読みさしの本をぱたんと閉じてしまうように、世界が終わってしまう。そんな夢をみんなが最近繰り返し見る。同僚や、ご近所さんも、大人はみんな見て、そうか、そういうこともあるかもしれない、と妙に納得している。
そして今夜がその夜だと主人公夫妻は確信しつつも、いつもと同じように平和につつましくベッドに入る。
というような話なのだが、どうも私の紹介文はよくないので機会があったら一読されることをおすすめする。
今回読み返してもこの話はやっぱり好きだったのだが、もう一つ、「ロケット」という最後に載っている短編もいいなあと思った。
くず鉄用の廃品ロケットを買い取ったジャンク屋の父親が、子ども達をそのロケットで宇宙旅行に連れて行くという話だ。宇宙旅行はべらぼうな値段がするので、まともにいけばひとり分のチケットしか買う金がない家族なのだが、みんなを連れて行くためにその父親はロケットの窓ガラスにスライドを仕込み、子ども達を「だます」わけだ。
昔は、なんだ、ただのごっこ遊びじゃないか、くだらない、みたいな感想を持っていたと思う。
でも今は違う。このジャンク屋のオヤジが素晴らしい人間に見える。
(2004/06/01記・再掲)

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